昔、あるきこりが川のそばで
木を切っておりました。
ところが手が滑り
大事な斧を誤って
川に落としてしまいました。
大事な斧を落としてしまい
オロオロとしていると
神様が現れました。
その神様は金色の斧を見せ
「お前が落としたのはこの金の斧か?」
とたずねました。
「いいえ、私が落としたのはその斧ではありません。」
きこりは答えました。
すると神様は次に銀色の斧を見せ
「お前が落としたのはこの銀の斧か?」
とたずねました。
「いいえ、私が落としたのはそのような斧でもございません。」
「ではこの斧か?」
次に神様が見せたのはきこりが愛用していた斧でした。
「はい、私が落としたのはその斧です。」
「ばかもの。その答えは間違っている。」
と、一言残し、神様は川に戻ってしまいました。
馬鹿正直なきこりは唯一の仕事である
木を切ることもできなくなってしまいました。
斧を落としたことがきこりの過ちでした。
むしろきこりであることがきこりの過ちでした。